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Trusted Advisor

2024年01月08日

私がコンサルタントとして目指す姿は、「将来の社会を牽引する企業の組織変革をサポートするTrusted Advisor」です。コンサルタントとしてはまだ駆け出しでマネジャー昇進前の2年目だったと記憶していますが、先輩パートナーの薦めで読んだTrusted Advisorという書籍に感銘を受け、自分の目指すべきコンサルタント像が明確になりました。

本書は、まずTrusted Advisorのあるべき姿を、「クライアントとの関係の深さ」と「解決すべきビジネス課題の広範さ」の二つの軸で整理し、アドバイザー(コンサルタント)がどのように成長していくべきかの道筋を示してくれます。特定の領域やプロセスの専門家 (Subject Matter or Process Expert)であるだけでは、クライアントとの関係性を深めることが出来ず、あくまで必要な時(Needs-Based)に、役に立つ存在(Valuable Resource)としての関係性しか築けません。信頼をベースとしたTrusted Advisorになるためには、幅広いビジネス課題に対して解決策を提示できる知識や経験はもちろん必要ですが、それだけでなくクライアントとの関係性を深め信頼を獲得し、長期的で持続可能なビジネス関係を構築するためには、どのようなスキル、マインドセット、行動が必要なのか。本書はこの問いに対して具体的な例を示しながら体系的に整理してくれています。

要約すると、クライアントのニーズを理解し、真剣にリスニングすること、オープンかつ透明なコミュニケーションを心がけることが重要であると著者は強調しています。その中で “Trust Equation”というユニークなフレームワークを使っているので、簡単にここでご紹介します。

The Trust Equation:Trust = (Credibility + Reliability + Intimacy) / Self-Orientation

ここでCredibilityはビジネス課題に対して必要なコンテンツを提示できるか、そのようなプレゼンスを持ち得ているか、Reliabilityはクライアントから常に頼られる存在であるか、Intimacyはクライアントとの親密さ、Self-Orientationは自己志向性つまりクライアントよりも自分のことを中心に考えてしまう傾向を意味します。Trustを最大化するには分子にある最初の3つの要素を最大化し、分母のSelf-Orientationを最小化することが必要、という意味です。本書はこの4つの要素それぞれについてあるべき姿、陥りがちな罠について詳述しています。

200ページ以上の本編で多くの示唆に富むアドバイスが得られ読み応えがありますが、巻末にはその要諦を20ページにまとめられています。私は自分自身の日々の言動の振り返りや今後のアクションプランの検討に、何度も本書の本編と巻末のページをめくりました。その内容をすべてここでご紹介することはできませんが、ぜひコンサルタントの皆様、コンサルタントを目指す皆様には読んで頂きたい良書です。個人的な見解ですが、英文の原著を読まれることをお勧めします。日本語版は翻訳が少しわかりにくく原著のニュアンスが伝わりにくいです。

【ご紹介した本】

The trusted Advisor

David  H. Maister, Charles H. Green & Robert M. Galford

(写真は私が購入した昔のバージョンで、これまで何度も改訂を加え現在のバージョンは表紙が異なります)

 

コンサルタント 堤 裕次郎

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